となりの生命誌・その1 バクテリオファージ T4


新年度の紙のおまけは、この言葉を耳にしないことはない日が一年以上続いている「ウイルス」をモチーフにお届けします。

 

ウイルス同様に人間に様々な病気(や恩恵)をもたらす「細菌」とは異なり、ウイルスはそれ単体では成長することも子孫を残すこともできません。細菌や私たち多細胞生物の細胞のしくみを乗っ取って増殖し、一方の細胞側も負けじと防御機構を発現させて対抗します。それらのメカニズムはおそろしく複雑巧妙で、治療薬やワクチンの開発がそうそう簡単に進まないのも無理はないなぁ・・・と、おもいっきり簡略化した解説図版をまとめながらあらためて実感しました。 

 

ともあれ、初回はウイルス界で最も有名であろう「バクテリオファージ T4」です。月面着陸船にそっくりなその姿で大腸菌の細胞壁に着陸し、「スパイク」よ呼ばれる針を突き刺して、「ヘッド」に詰まったDNAを注入して「感染」させます。今回の紙工作では、ヘッドを指で押すとスパイクが飛び出し、スパイクの先端から覗くDNAを指でつまみだせるしかけを加えました。紙面の都合で季刊誌本体には同封できませんでしたが、宿主である大腸菌を模したディスプレイスタンドも制作し、感染の瞬間を再現しながら卓上に飾ることができます。こちらはWEBで公開していますので、定期購読されている方も追加で作ってみてください。もちろんファージ本体も公開しています。定期購読されていない方は2つ合わせて是非。