動かして学ぶ生命誌コーギの最終回は、ウィルスと免疫系のいたちごっこを通して、生きものの不思議を学びます。
オスとメスのゲノムを組み合わせて子孫を残す人間を含めた多くの生き物とは異なり、ウイルスは、1個のゲノムをそのまんま複製して次世代を残します。そしてその複製精度があんまり良くないという、困った(?)性質を持っているんだそうです。生き物の場合は、まれに起きる複製エラー=突然変異のほとんどは死に直結し、ごくごくわずかの変異個体のみが進化につながると考えられていますので、僕らが生きている間にニュータイプを目にすることはあんまり期待することができません。でも単純なウイルスの変異の速度はぼくらのおよそ100万倍。毎年のように新型インフルエンザが発生するのはこのためです。鳥インフルエンザのように、同じ動物にかかった別のインフルエンザウイルスが混ざって新型ウイルスに変異することもあるそうで、まったく質の悪いヤツです。
これに対してわれわれ生き物は、免疫系を使って対抗しています。その年流行ったインフルエンザにあわせていちいちゲノムを変えるわけにはいきませんから、決まった遺伝子をいくつか組み合わせることで、常に100万種類以上の免疫細胞を準備しているそうです。敵もあっぱれだけど、こっちもなかなかやるもんですね。