生きものやじろべえ・その3 大きさは糞球頼りの糞虫

生きものやじろべえ、だんだんコツをつかんできた第3回目の今号は、フンコロガシ。3匹の成虫と、名前の由来である幼虫の入ったフンが、微妙なバランスを保っています。よく見ると、成虫とフンの大きさがそれぞれ違っているのが分かるでしょうか。

 

たいがいの生きものは、オスとメスで体の大きさが違います。例えばカブトムシのオスは立派な角を持ち、体も大きく、値段も高い(これは関係ない)。これは、カブトムシのオスが縄張りやメスをめぐって、他のオスと激しく争いあうことと関係しています。フンコロガシの縄張り争いもなかなか激しいそうなんですが、何故かこの虫は、オスとメスの体のサイズがほぼ同じ。カブトムシとフンコロガシのこの違いどこから出てくるんだろうかってのが、今回のテーマです。

 

その答えは、幼虫のエサとなるフンに隠されていました。フン団子に産みつけられたフンコロガシの卵がかえって成虫になるまでのエサは、産卵の前に親が準備したフン団子そのもの、当然ながらこの段階では親は生まれてくる我が子がオスなのかメスなのかは分かりません。メスの場合、エサの量はそこそこ少なくてもかまわないそうなんですが、そこで手を抜いて小さめの団子ですませておくと、もしオスが生まれた場合に、体の小さな、闘争力の弱い息子になってしまいます。それを避けるためには、常にオスが大きな成虫に成長するために充分なサイズのフン団子を準備しておく必要があります。生まれた娘にしてみればいい迷惑で、まわり中を美味しそうなケーキに囲まれて、それでもダイエットのために食事をセーブできる女性なんて、人間様でもそうはいませんよね。そんな訳で、同じ親が作るフン団子のサイズがほぼ一定だとすると、それを食べ尽くして成虫になった子供は、オスメスを問わず、ほぼ同じ大きさになってしまうとのことでした。健康優良で体格の良過ぎるお嬢さんがフンコロガシ界でどういう立場なのかは分かりませんが、「アタシに言うな、親に言え」って感じなんでしょうか。