空飛ぶ生きもの大作戦・その1 四つの翼を経て鳥へ【ミクロラプトル・グイ】

ポップアップやモビール、厚紙を使った工作など、僕の仕事のど真ん中からはちょっと外れた分野に度々いっちょかみしてきましたが、実は長年気にかかりながらもこれまで手をつけかねていた一大分野があります。それが今年度の「紙飛行機」。たぶんペーパークラフト愛好者よりも大勢のファンを持つこの世界は、外側から眺めただけでもその奥の深さはうかがえたため、気楽に手を出す勇気がありませんでした。とはいえ、年間テーマが「遊ぶ」と決まった日にはもう仕方がありません。覚悟を決めて本屋に行って、手当たり次第に紙飛行機の本を買いあさるところから始めました。

 

いやしかし、想像していたよりも更に難しいですよこれは。まずは接着剤からしてが違います。普段使っている水性のボンドでは紙が歪んでしまうため、初めて本格的にセメダインCを使いました。紙もいつもの紙よりは腰の強い用紙を印刷屋さんに取り寄せてもらって、試作の段階から本番の紙を使います。翼の形や重心の位置、垂直尾翼や上反角のちょっとした違いが飛行性能の影響しますし、そもそも、うまく飛ばないのが設計のせいなのか作り方のせいなのか保管方法のせいなのか飛ばし方のせいなのか、最初のうちは検討もつきませんでした(たぶん全部かな?)。ひたすら試行錯誤をくりかえし、きちんと作ってきちんと飛ばせばそこそこ飛ぶかな?ってとこまでたどり着いたのが、今号のミクロラプトルです。今頃はそこそこ飛んでくれている・・・でしょうか?

 

ここでひとつ言い訳をさせてもらいますと、そもそもモデルとなったミクロラプトルという恐竜自体が、飛行性能という点では進化の途上の生きものです。もともとは保温のために発達した羽毛を転用し、樹上から滑空していた考えられているこの恐竜、がっしりとした後ろ足はバランス的にも重量的にも、とてもじゃないけど飛行に適した形態とは言えません。その形を真似てる以上、ある程度飛びにくいのはものの道理ということで、ひとつよろしくお願いします。