生命誌の立板古・その1 生命誌絵巻 


僕がデザインを担当するようになってから、気がつけば干支一回り、もう12年目に突入した季刊生命誌、母体の生命誌研究館は、今年創立20周年の記念イヤーです。紙のおまけも何かスペシャルなものにしたいよねってことで、今年度のおまけ第一弾は、生命誌研究館のシンボルともいえる「生命誌絵巻」の立板古となりました。「立板古(たてばんこ)」って言葉、なじみのない方も多いと思いますが、江戸時代後期から明治にかけて流行した日本生まれのペーパークラフトのことで、歌舞伎や昔話の名場面が刷られた錦絵を切り出して、立体的なジオラマを作って楽しむ遊びのことです。38億年の歴史という舞台の上で活躍する様々な生き物たちを表現するには、まさにぴったりの技法です。よく思いついた!

 

もちろん、単に立体化するだけでは面白くないので、立体ならではのいろいろなしかけも追加しました。側面には「最古の化石の発見年代」と「DNA比較による推定出現年代」の表を、背面には「ゲノムの大きさと体の大きさ」のグラフを入れました。絵巻と表を見比べれば、生命誌のテーマである、生き物の多様性と普遍性の関係が浮かび上がってくるのではないかと思います。