昨年の「卓上・ゲノム展」、おかげさまで内外からの評判がとても良かったそうです。ありがとうございました。一点、僕が少し気になっていたのは、組み立て難易度も内容も、初心者の方にはちょっとだけハードルが高かったんじゃなかろうかということ。それもふまえて、今年は子供でも知っている「系統樹」をモチーフにした紙工作をお届けします。組み立ては簡単(のりづけは1箇所だけで、15分もあれば完成します)、完成した様子も直感的に分かりやすいものですので、ぜひ気軽に組み立てて飾ってください。
とは言え内容は例によってゴリゴリにハードですよ。担当の平川さんが何十冊もの参考文献や論文と格闘して作り上げた、現時点では最新の「顕生代以降の陸上植物の分類と分子系統樹」を、CDサイズのカード3枚で立体的に表現。周囲をらせん状に取り巻くのは、時間スケールを正確に再現した地質年代で、よく目にする中生代やジュラ紀といった年代が、いったいどれくらい続いたのかが一目で分かります。それに比べて人類が登場した新生代第四紀の短いことよ。多少デフォルメしても3ミリにしかなりませんでした。らせんの上には進化上のトピックや当時の代表的な植物の姿が描かれており、赤い矢印の先を目で追うとそのトピックに対応する系統樹上のポイントが分かるしかけで、興味の対象や知識の量に応じて、いろいろな見方ができるものになったのではないかと思います。自画自賛は充分自覚していますが、よく頑張った、年末年始の俺。
そしてもう一つ特筆すべきは、その抜き型の精度です。おそらくこれまでのおまけ史上で最高難易度の抜きの細かさ。ダメ元で提案した、枝の幅3.5ミリ/枝の間隔2.5ミリの系統樹を、職人さんが見事に抜いてくれました。いつか手土産を持ってご挨拶がてら工場見学に行きたいなと、BRHスタッフの人たちと話しています。