紙の厚さ
デザイナーの間では、紙の厚さを測る基準として多くの場合、「連量」という単位が用いられます。もともとは紙の取引に使われる単位で、一定のサイズ(多くの場合、四六判とよばれるサイズ=788mm×1091mm)の紙1000枚を1連とよび、その重さ(Kg)が、紙の重さ(すなわち厚さ)を表す目安になります。多くの場合、と繰り返したのは、これは日本で作られた洋紙に関しての基準だからであり、西洋で作られた洋紙や、和紙に関してはまた別の単位が用いられます。ややこしいことこのうえありません。
通常の雑誌に用いられる紙は、四六判換算で70~90kg、ペーパークラフトによく使用される紙は、110kg~180kg程度です。市販のプリンター用紙では、一般の方に分かりやすいように紙の厚さをそのままミリで表示してあるものが多いようです。紙工作に向いた厚さは、作品にもよりますが0.15ミリから0.25ミリといったところでしょうか。僕の作るからくりペーパークラフトは、0.22ミリ〜0.24ミリの用紙を推奨しています。
この他にも、印刷屋さんがよく使う単位として、1平米あたりのグラム数で表すものや、用紙によっては「特厚/最厚/超厚」といった、どれが一番厚いんだかはっきりしてもらいたい単位を使うものもあります。最近は個人でも小ロットのオフセット印刷を気軽に利用できるようになってきていますが、紙の厚さを指定する場合は、それがどういう単位であるか明確に記入するように気をつけてください。
紙のサイズ
市販されているコピー用紙やノートの大部分は、A4やB5と呼ばれる、タテヨコ比がルート2:1の長方形に統一されています。半分に折っても折っても合同が損なわれない矩形は宇宙の中でこれ一つしかありません。ちなみにA0の紙の面積は、841x1189=999949となり、これは限りなく1平米に近い数値となります。スゴイ偶然・・・の訳はなく、そうなるように決めたわけですね。このサイズを決めたのは、ノーベル賞もとっているドイツの物理学者だそうです。納得です。
ところで、B4やB5といったB列と呼ばれるサイズは(少なくとも)欧米にはありません。これは、国際基準であるA列の区分だけでは実用上の不便を感じた日本人が、江戸時代に公用紙として使われていた美濃紙のサイズを基準に考え出した規格だそうです。タテヨコの比は変わらず、面積はA列の紙のちょうど中間にになります。全紙や、四つ切り、八つ切り、として売られている紙は、印刷する場合の余分をみてあるために、規格サイズよりは心持ち大きくなっています。最近のプリンターやプリンター用紙で「A3ノビ」という言葉を良く目にしますが、あれは、A3サイズに納まったレイアウトが、印刷時の余分やガイドとなるトンボまで含めてプリントアウトできるように作られたものです。
紙の流れ目
紙には、その製造の過程でパルプ繊維が一方向を向いてしまうためにできる『流れ目』あるいは単に『目』、と呼ばれるものがあります。ちなみに英語では『grain』と言います。一般には『木目』の意味です。海外と初めてやりとりした時にこの単語を知らず『direction of paper streem』と書いたら、「間違ってはいるけど気持ちは充分伝わってくる!」と誉め(?)られました。
例えば新聞紙を両手で引き裂こうとすると、まっすぐに破れる向きと破れにくい向きがあることは多くの方がご存知だと思います。また書籍はページをめくりやすいように、目の向きが縦に揃えられています。ペーパークラフトで特に「丸め」を多用する場合、あるいはポップアップで立ち上がった際の紙のコシ(強度)が必要とされる場合、紙の目の扱いは非常に重要になります。オリジナル作品を作ろうと思っている方は注意してください。